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フレキソ印刷の基礎知識

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営業力強化シリーズ 1    印刷編

フレキソ印刷基礎知識定義―「刷版に柔軟で弾性を有する凸版を使い、流動性の高い水系、又はアルコールを主材とする有機溶剤系の蒸発乾燥型インキを使用して印刷する方式。」

印刷の分類

1、  凸版印刷  活版、フレキソ etc
2、  凹版印刷  グラビア、エッチング、リトグラフ
3、  平版印刷  オフセット、etc
4、  孔版印刷  リソグラフ、謄写版、スクリーン印刷
5、  射出印刷  インクジェットetc
6、  転写印刷  電子転写、箔押し
7、             蒸着印刷
8、              その他

大別して以上のようになります。フレキソ印刷は1890年代には英国で製袋業者が回転ゴムスタンプ方式で印刷を行っています。1908年コールタールから得られるアニリン染料をアルコールに溶解させたアニリンカラーを利用した凸版輸転印刷機に特許が下り、それを契機に回転式ゴム凸版から輸転印刷方式へと移行し始めました。1950年代アニリン染料に代わって、溶剤に不溶な顔料やビヒクルにも各種の合成樹脂が使われ始めたので米国アニリン印刷協会は「フレキソグラフイー」という呼称を採用しました。そして、1958年に、フレキソ印刷技術の発展・研究を目的とする団体、FTA(Flexographic Technical Association)が設立されました。日本でも長いことゴム版印刷の域を出なかったのですが、1970年代印刷機、刷版、インキが漸く進歩してきて多くの用途、被印刷体に高品位な印刷が再現できるようになりました。遅れ馳せながら1977年に日本フレキソ技術協会(Flexographic Technical Association of JAPAN, FTAJ)を創設しています。1980年代ダンボール、紙袋、液体飲料用紙客器を始め、軟包装分野、牲にポリエチレンフィルム袋へのフレキソ印刷が多く用いられるようになりました。1980年代後半製袋業界を中心に高精度なフレキソ印刷機の導入が始まりました。欧米においてはその後フレキソ印刷関連の開発が活発で今目ではグラビア印刷を凌ぐ勢いで普及しています。待に将来の環境間題で環境に優しい印刷物としての認識が高まる事により、包装産業におけるフレキソ化の進展は更に加速される傾向に有ります。この経緯は当社における認識経過と非常に似ていますので次に当社の印刷に関する歴史を見てみたいと思います。

MlZWA所沢時代MIZWA Co.,ltd.史 印刷編一所沢時代一当社の印刷はグラビア印刷を中心に展開されてきました。グラビアシリンダーは高いと云われながら当社の受注はグラビア方式に主力が在りフレキソ印刷への関心は中々高まる兆しが有りませんでした。一方同業他社の傾向としては製袋屋の印刷はフレキソということで寧ろグラビアで製品対応できる業者の方が少ない状況でした。何故他社はフレキソで進む中、当社はグラビアで進んでいったのでしょう。先ず考えられるのはマーケットの違いが有ったと思います。他社でのフレキソ化、サイズの定型化が進んだ百貨店業界に当社も関係しておりながら当社の取り扱い製品は伊勢丹様のターターンチェック、ブラックウォッチという百貨店業界でも狩殊なシリーズでした。グラビア印刷が売り物の高級路線でしかも待殊サイズを長く継続してきていました。設備の充実は主力のグラビアラインヘ傾注してきました。また、年に何度か受注する出版業界での雑誌の付録に採用される紙袋への印刷対応は当仕のフレキソ能力で処理する事は不可能でした、結果として営業的にもグラビアをセールスポイントとし積極的に売り込みが進められました。さらに、角底ともう一つの生産の柱であった輸転部門も「印刷機と製袋機の直結パターン」で当時は全てグラビヤ印刷機が取り付けられていました。ここまで工場内でグラビアが主流を占めると他社では「メリット」として採用された「フレキソの長所」も中々当社では長所として受け入れられずむしろフレキソ化する事のデメリットとが指摘される事となりました。当時の当社のフレキソ印刷はどのような状況であったのかを見てみましょう。印刷精度は低くマージナルがしばしば強く出ていました。しかも2色機でありました。ニスを掛けたり多色刷り製品が増える傾向には3色機、4色機グラビアが対応していました。フレキソ印刷の仕上がりレベルではグラビア印刷の品質には到底叶わないといわれ社内品質比較においても数段低いものと位置づけられていました。当社のフレキソアイテムの拡大が進まなかった理由に袋寸法が非常に色々有りすぎた事が在ります。長くフレキソ印刷を手がけながら所有版胴の種類が非常に少ない状況でした。そのためユ一ザー二一ズどうりの袋サイズを製造していく当社の方針を貫くには要望に合せてフレキソの版胴を新調していかなければならずその為の費用は思った以上に高い物でした。ランニングコストは安いが版胴を揃えるというイニシヤルコストが大変高く、あらゆるサイズの版胴を揃える事ができなかった訳です。そんなにお金をかけても印刷品質は低いのでは勿体無いという思いが有ったと思います。逆にグラビア版は高いのですが大量受注の確率が高く初回時にイニシヤルコスト回収の可能性が高いものが多く有りました。その積み重ねが長い問に多くのグラビヤ版胴を保有する結果となりサイズ面においてフレキシブルなグラビヤ受注を構築してきました。結果としてグラビア受注力は一屑強化され、フレキソ受注力は一向に改善されませんでした。当時のフレキソ能力を整理してみましょう。版はゴム製で母型に流し込んで作られていました。インク処理はツーロール方式です。そうしてアニロックスローラーは150線数です。さて、ゴム版という事は版の厚みが均等に作り;にくく、ツーロール方式では付着インク量調整も大雑把になりますさらに高速で回すとインクを掻き取りきれ無い状況が発生しました。またアニロツクスロールの精度が雑な為に印刷再現精度のレベルは低くハーフトーンの再現はほとんど困難でした。版胴のカット種類は8種類位だったと思います。フレキソ印刷に対する認識は欧米と日本の差がちょうど当社の中に典型的に内在されていたと言えるのではないでしょうか。

矢本新工場建設矢本工場新設にあたり印刷方式の選択決定は大きな間題でありました。我々は将来の環境間題を先取りし、環境に優しい事業の構築を目指し完全水性フレキソ印刷方式のみの採用を決定致しました。結果として、グラビアシステムは所沢に置いていく事になりました。平成6年10月 矢本工場の操業が始まりました ニューロング製412FF型4色水性インキ使用フレキソ印刷機設置を完了し稼動を開始しました。手探りの中で動き出したのです。アニ∵ツクスはセラミツクロールハニカムパターン60度180線/inch2本、300線/inch3本装備、形式スタツク型4色機、1色、2色は逆回転、3色、4色順回転。濃度調整インク循環器付きインクパン装着。ドクターブレード方式。プロパンガス強制乾燥機付き。印圧デジタル表示、印刷モニター設備。版胴交換ホイスト付き。サイドスリッター、センタ一スリッター装置設置。版貼り機も同時に購入しました。994年の矢本の年の暮れは広い工場に412FFと127Tがぽつんと置かれた機械が二台だけの寂しいものでした。これから厳しい冬に向かうという時期に稼動が開始したのです。この時点で翌年の暮れに工場いっぱいの機械と人が従事する工場になることを、又 すぐに所沢工場が消えてしまうなどとは誰も夢にもおもっていないわけです。失本の冬は寒く春までに数々の試練が訪れました。斎藤所長、佐藤工場長をはじめとし一期生山田、加藤コンピ、10月入社の菅原、高橋両君、更に束海林さんが加わり第一次越冬隊は矢本移転記念の「ヤックン手提げ」の印刷、製袋から始まり伊勢丹のクリスマス製袋をこなしながら それでも何とか初めての冬を越すのです。そのころ本社では45期中(平成7年9月)の所沢工場の矢本完全移転完了計画が決定されました。緊急に全ての計画が策定され春には第二期工事もスタートし、六月には移転に関わる大型機のリストアの為のニューロング搬入が開始しました。順次移される機械に合わせ 多くの現地採用が進み トレーニングの為に所沢から毎週5人が泊り込みで指導に行く強行スケジュールが展開されました。最終的にグラビア印刷機は所沢存続中にできるだけの刷り溜めをし刷り終わった処で廃棄が決まりました。この時我が社はは多くの資産を矢いました。覚悟していた事ではありますが予想を遥かに超えたダメージがありました。この新体制に対応する為に45期決算総会で社長交替を敢行し新社長を誕生させ新たに起こる諸間題を乗り切る体制がスタートされました。先ず伊勢丹の主力商品のタータン、BWの印刷で困りました。残された膨大なグラビヤシリンダーの処理、フレキソ化への経費併せてフレキソ化できない製品の引継ぎ先等などです。協力会社各社の献身的な協力と援助、お得意先のご理解、社員のやる気と努力により問題を解決してきました。何といっても21世紀印刷業を継続するとき自然環境との共存,共生という課題が有ります。更に廃棄物処理間題が有りますが、既存のグラビアシステムを新工場に持ち込むとき印刷部門だけで500坪相当の建やが必要となり有機溶剤は切り離されない。廃液処理も高額の処理費がかかる。究極はそれまで使ってきた機械は古く移動に堪えられない。しょうがない選択でした。新たに選択したフレキソ印刷機は従来のフレキソとは別物と理解し運用しなくてはならないものでした。このようなハード面の変化を正しく整理し生かすことが高額な投資を生かす道であり製造経費の軽減、生産性の向上、営業受注力の強化に繁がるポイントとなる訳です。現在矢本体制6年目を迎え当初の計画数値をクリヤーし地元採用の印刷課長が誕生し更なる充実に向けて体制強化を進めています。改めて営業部員の印刷システム熟知による受注効率の向上。更にはインク、製版上の費用削減アイデアの積み上げを進めていかなくてはなりません。印刷部門が儲かる部門へと成長する為にこの際徹底的に印刷の勉強をしていきましょう。

フレキソ印刷の基礎
1、版下、製版指示及ぴ版貼りのポイント受注時に袋サイズには十分に配慮して下さい。袋のサイズを左右する条件として印刷機、製袋機の性能上の制約と当社保有部品による制約があります。印刷機による制約は別紙版胴確認表のとうり製袋機の制約も併せて確認しておいてください。紙幅はFK1180mm、FF1280mmを最大とし、印刷可能幅はそれぞれ1100mm、1200mmとなっています。組み合わせは色々考えられますがサイドスリッターは10mmを基本パターンと考えてください。べた柄の場合右耳を印刷しながら落とします。落とす耳は少ないほうがコストダウンとなりますがロツトの少ないとき多少大き目或いは小さ目の紙をスリッターをかけながらサイズ調整をする事が有ります。しかしながらこれは条件がよい場合であっても最小5mm、最大25mm迄が限度です。これを超えるスリットは刷りながらの処理は難しいので事前処理を考えてください。サイドスリツターは断ち落としですから少ないに越した事はありません、しかしながら緊急時幅広紙を紙屋さん持ちで供給された場合は どこまでスリッター可能かという事も知識として必要です。記憶に止めておいてください。幅が600mm以下の製品でまとまった数量のある印刷はセンタースリッターを利用してW掛けをします。412FFは最小巻き取り幅が600mmとなっています、ベタ柄W掛けの場合はセンタースリッターとサイドスリッターを併用してください。多色刷りべた柄W掛けとなるとかなり高度印刷技術が必要となります。これを上手にこなすポイントは版下,及ぴ製版上の作法にあります。進行の際は十分マニュアルを確認した上で慎重にチェツクし進める事が大事です。尚当社のセンタースリッターは簡易方式で有ります、決して万能では無いという事を認識しておいてください。構造は左右均等にスリッターをした後弓をかませて無理矢理開く方式となっています。そのため紙の張カの変化や紙厚インク付着量により巻き取りワインダー上で左右の紙が噛み合うトラブルが発生することがあります。70g以下の薄い紙で、巻き数の長い場合に多く発生しています。印刷上のチェツクポイントは原紙側のブレーキ強度と巻き取り側のテンションの逆転が起こる頃に起こります。原紙直径が10cm程細くなった頃にこの現象が起こり出します、9000m巻きら巻取りで言うと3500m位です、この時巻き取り側は50cm位になっています。次に原紙側が50cm位になった時に変化が出ます。テンションが自動制御になっていないのでスピードとテンションコントロ一ルバランスが全ての鍵を握っています。紙の調整にもよりますが調子が出るまでここをポイントに印刷を進めて行くと巧く刷り上がるという事です。尚、機械仕様表による最低原紙幅はFK380mm、FF600mmとなっています。この制約条件は紙に対するテンションだと考えられます。これ以上幅が小さいと引っ張り張力に紙が耐えられなくなるのだと考えます。前にものベたとうり当社では4色刷りW掛け,流れ2面付けの合計4面付けでの刷りが究極の高度印刷です。但し版代を考慮して採用を検討してください。LOTの少ないものは無理に多面刷をすると反って印刷効率は落ちますし版代も膨らんでしまいます。コストパフォーマンスを常に追求して仕掛けを作る事が大事な事であります。それからセンター、及ぴサイドスリッターは版下の段階で十分考慮してください。版貼り、版剥がし、再版貼り、を想定し目付棚、レジマーク、児当トンボを効率良く設定してください。基本パターンは別紙レイアウト表を参考にしアートワークでの失敗の無いよう下版前に充分チェックしてください。製版屋さんに発注の時は左右二面、或いは四面の場合必ず横並ぴの二面毎に作る指示をして下さいこれをしないとバラバラの版が届く事になります。特に多色刷りの場合ばらばらの版を貼る事は不可能ですから必ず面付け指示表をつけてください。尚、センタースリッター用面付けは糊しろ幅を明確に指示する事を忘れないでください。これらすべて別紙面付け表を確認して下さい。版の手配のときは使用版胴にあわせて縦方向に対して縮小をかける事を忘れない事。通称バリアと呼ぶが縮小率は使用版胴によって決定するのであって、袋のサイズでは無いという事を充分注意すように。指示書には表にある製版短縮比率を発注時に確認してください。尚当社の版の厚み2.54mm、使用両面テープは0.46mmのクッションタイプを採用しています合計が3mmになるように調整されています、直径に換算して6mmの差になる訳で版の厚みの二倍に円周率を書けた数字が短縮該当数字となります。クッションテープも結構高額であるし版も永久に使用できるわけではないので、無駄の無いように工夫をしてください。注意:輸転は2.75mmの版なので縮小率は表の輸転版胴の欄を参照の事

  当社のプラスリーブは45000円から70000円です今後大量の印刷が確定するものは貼りっぱなしにできるよう設備面の充実を進めて行きたいものです。今後積極的に検討いたしましょう。
     最後に製版時の注意としては当社の印刷機のアニロックスが180、250、300であり使い分けにより刷り上がり印刷効果が随分違う事を当社の製品を見比べてその違いを見分けられるようにしてください。また製版スクリーン線数は50線から80線を使うと良いようですこれも作品を数多く手がけて技術向上に努める必要があります。これはスクリーン濃度にも関係がありますからチヤンスがあれば色々比較して見る事が当社全体の能力向上に繁がりますので是非心掛けてください。最近はハーフトーンの掛け合わせが多くあります。スクリーン同士のモアレに注意するとともにアニロツクスセルが60度ですから60度をはずしてスクリーンを掛けてください。詳しくは「フレキソ印刷技術と応用」を参考にして下さい。

以上営業的に最低必要な資料をまとめました、次回は製袋編をお届けします。

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